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貧乏な活字中毒者がこよなく愛する文庫本に対するあれこれ
by melville_z
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カテゴリ:エッセイ
  • 『びっくり先進国ドイツ』(熊谷徹 新潮文庫)
    [ 2007-01-07 22:10 ]
  • 『危ないお仕事!』(北尾トロ 新潮文庫)
    [ 2006-12-29 23:40 ]
  • 『飛びすぎる教室』(清水義範 え・西原理恵子 講談社文庫)
    [ 2006-12-18 20:48 ]
  • 『サラ金嬢のないしょ話』(小田若菜 講談社文庫)
    [ 2006-11-18 20:51 ]
  • 『簡単に断れない。』(土屋賢二 文春文庫)
    [ 2006-11-14 20:33 ]
  • 『負け犬の遠吠え』(酒井順子 講談社文庫)
    [ 2006-10-26 21:13 ]
  • 『ツチヤ学部長の弁明』(土屋賢二 講談社文庫)
    [ 2006-10-19 22:23 ]
  • 『冬の水練』(南木佳士 文春文庫)
    [ 2006-10-15 21:06 ]

『びっくり先進国ドイツ』(熊谷徹 新潮文庫)
別に私はドイツが好きなわけではないし、ドイツに行ったこともない。
ただなんとなく「読んでみようかな」と思って購入した。
別に期待したわけでもなく何となく読んでいたが、思いのほか面白かった。

『世界の日本人ジョーク集』という今流行っている本がある。
直前にそれを読んだことが理由かもしれないが、ドイツ人=頑固というイメージが強い。
本作は実際に日本人が現地で感じるドイツ人について書いてあって自分のイメージとの相違を感じながら読み進めた。

題名でドイツと言っている割にはミュンヘンとベルリンの話が殆ど。
ちょうどベルリンの壁崩壊前後世代の私にとって今のドイツしか知らない。
しかし、ベルリンの壁前後の話が多く、ドイツの歴史を感じられたのは確か。


さて、ドイツ人のイメージであるが、概ね思っていた通りだったようだ。
ただやはりステレオタイプなイメージになりすぎていた感は否めない。
ドライな感じのあったドイツ人でもやはりビールの祭りになると騒ぐんだな、とか。
さらに社会保障の話は作者自身否定的な書き方をしている分もあるが、日本と比べてみると五分五分かな、と。
労働者保護に関しては日本の制度は進んでいるものの、生活保障の面ではやはりヨーロッパ各国の方がいいかもしれない。
ただこれは日本人やドイツ人の考え方の違いも大きいので、日本人が書くと否定的になってしまうのかもしれない。

こういうのは実際には体験してみなければ分からない。
ゲーテが言った「母国語を知るには外国語を学ばなければならない」という言葉。
言いえて妙。
こういった本は本当にためになる。




びっくり先進国ドイツ | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
びっくり先進国ドイツ
熊谷 徹 / / 新潮社
ISBN : 4101322325
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by melville_z | 2007-01-07 22:10 | エッセイ
『危ないお仕事!』(北尾トロ 新潮文庫)
毎年1年に1回は流行病のように「自分の中でクスリと笑える作家を見つけたい」と思う。
私の中でその系譜に連なるのは原田宗典、土屋賢二、宮沢章夫…。
今年は見つからないまま終わると思っていたところ、12月に入って見つけた。

それが北尾トロ。
『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』でおっ!と思い、12月後半になって3冊立て続けに読破。
そのうちの1冊が本作『危ないお仕事!』

前作『怪しいお仕事!』に引き続き「求人雑誌には出ないような職業」に焦点を当てて紹介している。
本作は前作よりも趣味的というか「仕事」ではないものも含まれているような気がするものの、「知りたいけど知りたくない」的なものに焦点が当たっている。

著者が実際に取材をして書いているのであるが、著者の情熱(知りたい!と思う情熱)と共に様々な職業の人々の自分の職業に対する熱意などもひしひしと伝わってくる。

クスっと笑えて、チョビっと感心出来て、ホーと思ってしまう。
書き方も無駄なく軽く読めるので、一度読んでおいて損はない。
話しのネタになる。




危ないお仕事! | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
危ないお仕事!
北尾 トロ / / 新潮社
ISBN : 4101282528
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by melville_z | 2006-12-29 23:40 | エッセイ
『飛びすぎる教室』(清水義範 え・西原理恵子 講談社文庫)
清水義範の大人気お勉強爆笑エッセイ。
『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』など小学校の主要4教科を制覇した(?)清水義範がその締めくくりとして雑談授業をしようという本作。
理科や数学編でも「意外と面白いぞ」と思わせてくれただけあってこれもなかなか面白い。

テーマは歴史・料理・幽霊・暦・奴隷・墓・天使・聖書・旅行・宇宙。
これについて難しくない程度に簡単に話をしている。
本作は「シミズ博士の雑談授業」という副題がついているが、まさに授業中の雑談を聞いているような感覚である。
とても興味をそそられる内容だし説明も分かりやすい。
元々清水義範のエッセイでは知性があるところが垣間見えるが、こういう風にあまり知らないことを説明する形になると「わかりやすい」と思える書き方をしてくれてありがたい。
こういう話だと聞く気になる。

私は「知ると覚えるはべつのこと」と思っているがまさに「知りたくなる話」ばっかり。
これを誰かに説明できるかといえば出来ないのだが…。

このお勉強シリーズのエッセイは個人的にとても好きなものであった。
これが最終章だというとちょっと寂しい。

今学校教育の話によく出てくる「総合学習の時間」
こういうのをやったらいいのではないか?
学校に対する見方が変わってくると思う。




飛びすぎる教室 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
飛びすぎる教室
清水 義範 / / 講談社
ISBN : 4062755882
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by melville_z | 2006-12-18 20:48 | エッセイ
『サラ金嬢のないしょ話』(小田若菜 講談社文庫)
実際にサラ金(消費者金融)で働いている女性がサラ金業の裏側を書いた本。
実際サラ金と縁のない私としてはサラ金にいいイメージを持っていない。
実際に社会的なイメージも悪いと思うが、本当はどうなのか。

作者が述べているが、サラ金は「初対面の人にお金を貸してくれる」商売である。
金利は法律の範囲内で定められているし返済計画も客と相談するのだとか。
決して悪徳商売ではない。

サラ金嬢は外ではお客さんと話しをしないようにするだとか仕事中はバッチリメイクでアクセサリー類はつけてはいけないだとか細かい裏話なども満載。
仕事上の困難や私生活での困ったこと・人生観の変化など結構細かい。

個人的に興味深かったのは「松嶋さんと反町君」の項。
ここで詳しくは書かないが、どんな職業でも一般消費者と直接顔を合わす職業には様々な隠語が使われている。
もし出会う機会があれ…いや、出会う機会を作らないようにしたい。

サラ金業界の別の顔を見ることが出来た気がする。


ただ、作者は大卒2年目の女性ということになっているが、おそらく違うだろう。
法律的な知識がものすごく整理されて書かれていることもあるし、わざわざ本を書いておいて仮名というのも不思議だ。




サラ金嬢のないしょ話 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
サラ金嬢のないしょ話
小田 若菜 / 講談社
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by melville_z | 2006-11-18 20:51 | エッセイ
『簡単に断れない。』(土屋賢二 文春文庫)
哲学者の書いたエッセイ。
本作の前に読んだ本が理論的だった。
本作も哲学者が書いた本なので理論的だったに違いない。

とことん日本語は難しい。
だからこそ面白いのか。
著者は日本語を駆使して得意(他のものに比べれば)な哲学的思考により現代に存在にする様々の事象に対して考察を加えている。

「風が吹いているわけではないのにこの扉はとじたりしまったりしています。なぜでしょう。」
といったなぞなぞがある。
子供の時はなぞなぞに簡単に引っかかることはなかったものだが(ただ単に答えが分からなかっただけだ)大人になると意外と引っかかってしまう。

この本を読んでこのなぞなぞを思い出した。
同じような書き方がされているから本当なら納得してはいけないことでも納得しそうになってしまう。
読むときは色々な意味で注意が必要だ。

以上のように考えてみると著者は童心を忘れていない純粋な心の持ち主に感じられてしまう。
邪悪な大人に成長していないのだろう。

ふぅ、著者を褒めすぎて疲れた…。
というか著者のような論の展開をしようとするとものすごく疲れる。
これは意外と著者に文才があることを示しているのかもしれない。
嘘だと思うなら「解説」を読んでみたら良い。
著者と同じような書き方をしようとしているが著者とはやはり切れ味が違う。
百歩譲っても著者の様には書ききれてはいない。




簡単に断れない。 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
簡単に断れない。
土屋 賢二 / 文藝春秋
ISBN : 4167588099
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by melville_z | 2006-11-14 20:33 | エッセイ
『負け犬の遠吠え』(酒井順子 講談社文庫)
ベストセラー本の文庫化。
「負け犬」の定義(「狭義には、未婚、子ナシ、三十代以上の女性のこと」)の是非とか細かいことはひとまず置いておいて、この本は掛け値なしに面白い。
よくぞ「負け犬」についてここまで書けるのか!と感心する。

内容的なことに触れると、負け犬の特徴について言及してある部分が笑える。
お金や依存症などについて淡々と、そしてやや自虐的に語られている。
負け犬とは言ってもファションセンスなどに関しては良いものを持っている。
それらの理由についても淡々と綴られていく。

そして最後に「負け犬にならないための十ヶ条」「負け犬になってしまってからの十ヶ条」で締める。
負け犬にならないための十ヶ条を負け犬に語られたかないよ!と言うなら早とちり。
負け犬になったからこその助言なのである。
私もこの欄に関しては何度も熟読してしまった。

また、「やらないで後悔するくらいまら、やって後悔した方がいい」という人生訓がある。
だが酒井順子はこれについても負け犬的視点から反論を試みる。
一エッセイストの筋立てが心に優しい。
小学校の道徳の授業で聞かせてみい、と考える私はひねくれ者だろうか。
どうしてここまで騙されるのか面白いのか不思議でならない。


~~~~~~以下酒井順子論(本題かも)~~~~~~


私は本作以前にも酒井順子のエッセイは何冊か読んでいる。
酒井順子依存症になるほどではないものの、ふと手持ち無沙汰な時に買う文庫本として酒井順子は最もふさわしい。
なぜ私はここまで酒井順子に毒されたのか?

それは酒井順子のフェティシズムにあるのだと考えられる。
一つの対象に対してとことん向き合う勇気と気力・忍耐力。
氏のエッセイはこのフェティシズムの集大成なのだ。

ぜひ酒井順子にはまりたい人には『制服概論』(新潮文庫)をオススメする。




負け犬の遠吠え | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
負け犬の遠吠え
酒井 順子 / 講談社
ISBN : 4062755300
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by melville_z | 2006-10-26 21:13 | エッセイ
『ツチヤ学部長の弁明』(土屋賢二 講談社文庫)
このエッセイを読むとなんだか上手いこと言いくるめられた気がしてしまう。
自虐的に低姿勢で書いているにも関わらず妙な説得力がある上に愉快。
電車の中では読んではいけない本の一種である。

著者はお茶の水女子大学で哲学を教えているれっきとした教授である。
女社会で生きているせいかどうかわからないが、持ち前の洞察力で知りえた女性の生態を哲学的観点から考察している・・・
と言ったら言い過ぎだろう。
哲学っぽい言い回しで散々バカにしているだけだ。
なのに何故か笑えてしまうのは何故だろう。


今回は様々なところでの連載や講演の様子を集めたエッセイ集・・・
とちょっと待て。
これは口演であって講演ではない。
散々悪口を言っているだけなのだから。

「社会人が持つべき最低限の知的能力」という章ではまともな文章を書いている(ツイチヤにしたは、という注釈はいるが)。
たまにこういうことをすると本当に哲学を教えているのではないかと読者が混乱するからやめてほしい(違)

また、「哲学をオチョクる方法」では有名な哲学家の思想を持ち前のユーモアを交えて解説している。
いしいひさいち氏の漫画を題材に解説しているのだが、これがまた分かりやすい。
ユングやフロイト、フーコーと言った名前程度は聞いたことのある哲学家からクーン、ポパー、アルチュセールなどといった一般人の知らない(私だけ?←だいたひかる)哲学家までも網羅している。
おそらくこのエッセイの秀逸さはいしいひさいち氏の漫画に因るところが多いのだ。


そして、この本で一番面白いのは前お茶の水女子大学長本田和子氏による解説である。




ツチヤ学部長の弁明 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
ツチヤ学部長の弁明
土屋 賢二 / 講談社
ISBN : 4062755343
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by melville_z | 2006-10-19 22:23 | エッセイ
『冬の水練』(南木佳士 文春文庫)
南木佳士の本を読むと、まるで時間が止まったような気になる。
とてつもなく優しい空気に包まれる。


著者は元々医者をやりながら小説を書いている。
そしてパニック障害を発症し、現在は細々と医者をやっている状態のようだ。

大学進学前にも様々な苦労・挫折を経験しているようだが、その点については著者の『医学生』あたりが自伝的小説になっている。


私自身が現在前ばかり向いて歩いているような生活をしている。
後ろを振り返る勇気がないのか、後ろを振り返る余裕がない状態。
決して勇気を持っていないとは思えない状態。

そんな心の状態で読むと一度自分を振り返らせてくれる力を持っている。

「五感をフルに使って入力された情報を、その人なりに処理して言葉にする、あるいは言葉にしない。互いにそういう言葉を用いる、あるいは用いないことで真のコミュニケーションは成立する。」

普段の私の生活を思い返すと、
「五感をフルに使って入力された情報を、その人なりに処理して言葉にする。互いにそういう言葉を用いることで」
コミュニケーションを行っている状態。

自分を客観視して生活することは大事なことだと思うが、実際に客観視することは難しい。
そのような視点を飾らずに示してくれるだけでもこの本の価値はある。




冬の水練 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報
冬の水練
南木 佳士 / 文藝春秋
ISBN : 4167545144
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by melville_z | 2006-10-15 21:06 | エッセイ